「予定も聞かずに日程決めるなんて」
ポピパの中でRASの強引さについて明確な不快感を示すのは沙綾だけ。
こう言ってはなんですけど、おたえがサポメン勤めることになった時点で既に文化祭の日取りは決まっていたわけで、どういう契約になってるのかは不明ですが「この日だけはダメなんで」と契約時に意思表示できたはずなんですよね。それでもおたえではなくRASだけを責めるというのは、沙綾の中では「外からやってくる危機」について人一倍敏感だからとも言えます。
CHiSPA解散はメンバー内で決定的な軋轢があったわけではなく、山吹家の事情と、沙綾個人の気持ちの問題だった。だから、今回のケースもおたえに非があるとは思えない、思いたくない。……というか、今回の沙綾は思考が凝り固まっていて、自分から動けない場面が多々見受けられます。問題を起こしたのはおたえかもしれないけど、問題解決に動こうとしなかったのは沙綾だけなんですよ。
「みんなで考えて燐子先輩や日菜さんにも相談しよう」と持ちかけるのは香澄。「タイムスケジュール変えられるか聞いてみるか」とスマホを取り出したのは有咲。「会場から学校までの移動も考えなきゃ」と提案するのはりみ。沙綾はおたえを心配するので精一杯。
揃わない掛け声。 予兆。
外部との交渉事はすっかり有咲の役割に。たくましくなった。
「大丈夫だよね、私たち」
僕たちは山吹沙綾というひとをどのように見てきたか。
明るく朗らかでポピパの頼れるお姉さん。
その一方で積極的に自分の意見を言わない弱点も持ち合わせています。
「沙綾は何がしたい?」と声をかけられたら「わたしはいいよ」と遠慮する(OVAで香澄に押し切られてようやっと自分の意見を言う、みたいなのが代表的)。それは奥ゆかしいみたいなことじゃなくて、自分が意見を言うことによって余計な波風が立たないか臆病になっている、とも言えます。
このブログでは何度か山吹沙綾というひとについて言及する記事を書いています。
一年生の一学期に行われた文化祭で(彼女がかつて所属していたバンドである)CHiSPAと和解したのに(ここでガルパ内イベントを持ち込むのは反則かもしれませんが。アニメ二期とどれくらい繋がりがあるのか不明なので)クリスマスイベントに彼女たちを呼べなかったんですよ、沙綾は。過去の傷と向き合えない臆病者の顔も、彼女は持ったままなんです。
僕はクリスマスイベンド時の感想としてCHiSPAは彼女の傷ではなくなる、というような旨のことを書いたつもりだったんですが、今回の沙綾を見ていると、これは相当な深手だったんだな……と思わざるを得ません。あんなに弱々しく硬直してしまう沙綾を見てるとズキズキしてきます。
ポピパのピンチにロック、覚醒! このギター構える所作、めっちゃかっこよくてリピートしちゃう。
キャー紗夜さーん!
ここで「determination symphony」が披露されるのはなんとも意味深。
ガルパ内のイベント「秋時雨に傘を」で初登場した楽曲です。
このイベントでは氷川紗夜の妹・日奈の、自分にはない魅力的なギター演奏にショックを受け、「自分らしい演奏とはなにか」を自問するお話になっています。「ポピパらしさ」を問われている現状と被るものがありますね。
デタミの歌詞は、かいつまむと「今はまだあなたのとなりにいられる自信はないけれど、それでも奏でるのをやめない」という、自身の現状認識と決意表明の歌なんですね。Roseliaはポピパの一歩先行くバンド。ポピパの抱える苦しみはRoseliaも通過していて、彼女たちはその答えを出した。このデタミは意図した選曲と言えるでしょう。
ポピパの文化祭ライブは叶わなかった。しかし、彼女たちの目の前には主催ライブが待っている。彼女たちは奏で続けられるのでしょうか。
今回のハイライト
「行くわよ」「ええ」
かっこよすぎ……!
Roseliaのメンバーが合図なしに続々と舞台に上がっていくの、必殺仕事人みたいで痺れました……!