円環少女3巻 煉獄の虚神(下) 読了

円環少女 (3) 煉獄の虚神(下) (角川スニーカー文庫)

円環少女 (3) 煉獄の虚神(下) (角川スニーカー文庫)

 神の奇跡が届かない世界に生きる人間達は、数多の魔法世界から悪鬼と罵られていた。そんな「地獄」を開放すべく、神に近き男グレン・アザレイは総人口60億人を相手に単独で地獄に挑む。立ち塞がるは<公館>の専任係官<沈黙(サイレンス)>こと武原仁と、幼くして罪人として犯罪魔導師百人殺しという過去誰も達成していない過酷な使命を背負わされた円環体系の魔導師、メイゼル。ふたりの絆は、神を超えることが出来るのか。
 下巻のポイントは「相似」。相似体系の魔導師であるグレンは、万物あらゆるものに相似を見出し、砂粒さえ武器にしてしまう脅威の魔術を繰り出す。その一方で、彼は地獄で枯れ果てた愚弟・ケイツを前に「お前は私に似ている」と弱さを見せる。この事件の引き金を引いた綾名ネリンは、すれ違い続けた仁とメイゼルを相似の銀弦で結びつける。
 強者も弱者も、悪鬼も魔導師も、みな「似ている」者同士だった。ある者はその事実に救われ、ある者は戸惑う。相似をポイントにして、登場人物の心が暴かれていくさまがなんとも切なげ。偉人と称えられた男もしょせんはひとりの人間。世界中に飛ばされた銀弦が人々を祝福し、哀れむ。
 魔法消去と相似魔術の法則がいまいち読み取りにくく、イメージを描きにくかったのが難点と言えば難点。しかし、愚かでひたむきな登場人物は恐ろしく僕らに「似て」いて、実に引き込まれます。