銀盤カレイドスコープ〈vol.8〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)
- 作者: 海原零,鈴平ひろ
- 出版社/メーカー: 集英社
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銀盤カレイドスコープ〈vol.9〉シンデレラ・プログラム:Say it ain’t so (集英社スーパーダッシュ文庫)
- 作者: 海原零,鈴平ひろ
- 出版社/メーカー: 集英社
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これ、電車ん中で読むもんじゃなかったですね……。タズサのフリープログラムらへんで目頭が熱くなってしまいました。
8巻でオリンピックショートプログラムが終了。9巻が最終巻というのは前から言われていた事でしたので、あとやることといったらフリープログラムしかないけどどうすんだべと思いながら9巻を読み進めていたら……。
正直、9巻序盤は読み進めるのがつらくて、何度本を閉じた事か。
とかく、プログラム描写の巧さを評価される作品ですが、この8、9巻は特にすごい。何度鳥肌の立った事か。それほどフィギュアに詳しくない僕でさえこれですから、詳しい人にはたまんないんじゃないでしょうか。リアやタズサは言うに及ばず、ガブリーのフリー演技の気迫に慄きまくりです。アスリートのトップってこんなすげえんだ。最後らへんで現実をちょっとはみ出してしまいますが、これは相当濃い取材と作者の競技に対する愛のなせる業だったんではないでしょうか。そらあ浅田舞も読むわ。
で、終わったわけですが。
タズサさんの華麗なる軌跡、この胸に刻まれましたよ。100億ドルの〜というわりには妙に親近感のわくキャラクターで、何より努力の上に立っている事が強調されてるから、もう応援せずにはいられず。反感を買うたびに強くなる。なにより精神が強くなければこうはいきませんが、こうありたいなあという姿がタズサにはありました。とにかく筆致が濃いというか、情熱的な作品でありました。最後まで追ってよかったなあと思える作品。ああ、まじおもろかったよ。
以下ちょっとネタバレにつき、続きを読むで。
あと最後にひとつだけ。ピートの描写。明記されてなかったけど、あの程度で抑えたのは意外であり、またそこが良かったなあと。甘い過去を振り切っちゃうところが*1孤高のタズサさんらしい。墓参り*2もないなんてなあ。せっかくのカナダでのオリンピックっつうおいしいシチュエーションなのに、よく踏み込まなかったなあ。このへんのある種の残酷さもこのシリーズらしい。