コードギアスが帰結した90年代ドラマのその先

 昔、「若者のすべて」というドラマがあって。群像劇なお話で、主人公の何人かは荒れてた時期があったり、自分ちの工場を立ち退きせにゃあかんみたいなピンチがあったりして、最後に丸く収まる、という話だったんだけど。
 ところが。
 最終話の開始何分かで主人公ふたりが食堂だかどっかで暴れてた不良を窘めるシーンがあって。そこはそれで終わるんだろうなと思ったら最後の最後に出てきて、主人公ふたりをナイフでぶっさして、生死不明のままお話終了、というとんでもないひっくり返しで終わったドラマであった。*1
 その、死を暗示させるEDも含めて、番組名どおり「若者のすべて」であったんだな。このドラマは。挫折も栄光も、友情も裏切りも、すべて。とにかくぎらぎらしてた。
 コードギアスの場合、ルルーシュとスザクというふたりの死*2をもって、「若者のすべて」のアニメバージョンであるとも言えなくはないかな、とか。
 90年代ドラマのついでに言うと、「振り返れば奴がいる」という、ダブル主人公(石黒賢織田裕二)の医療ドラマがあって。石黒賢はいわば正義の医者で、織田裕二は患者からお金を貰っちゃうような手段を選ばないルルーシュキャラ。二人の主人公は何かにつけて対立しあうんだけど、同時にその技術を研鑽しあっていた。ところが終盤、石黒賢演じる正義の医者が胃がんになって。そこでやっとふたりは仲違いをやめたんだ。必死に石黒賢を救おうとする織田裕二なんだけど、結局死んじゃう。失意のまま病院をあとにする織田裕二。が、織田裕二にさんざん利用されて裏切られた男に刺されてブラックアウト、というところでお話が終わる。
 このドラマの結末で制作側が何を言いたかったのかというと、ライバルという自分の片割れのような存在がいなくなったことで、半身を失ったもう一方も生きては行けない、という結論に達したということだったんだね。
 ルルーシュとスザクもそう。ルルーシュの命を奪ったスザクは、同時に「枢木スザク」という公人として死に、ゼロという虚像を生涯演じ続ける願い、ギアスをかけられた。ルルーシュという半身を失って、彼は自分自身をも同時に殺したんだね。「若者のすべて」も主人公と親友が同時にいなくなる。半身を失ったらそれは死も当然。
 ルルーシュランペルージ、および枢木スザクは、人を裏切り、裏切られ、時には笑い、時に戦場で泣きながらその「若者のすべて」を世界の未来に捧げた。刹那的でもあり、博愛的でもあり、そして何よりギラギラしてた。それはかつて90年代ドラマで余りあまった力を方々に投げ捨てるほかなかった彼らの姿にも似て、ただひたすらまぶしかった。ただ、あのころのドラマと違うのは、そこらへんのチンピラに殺されたのではなく、事実上、主人公ふたりの刺し違いで幕を下ろしたところだろうな。そしてその死は未来を築いた。90年代のあのころ、ぼくらが熱狂していたその場限りの輝きではなく、太陽のようにそのきらめきは残り続ける。

*1:そういうドラマが90年代にはちょくちょくあった。

*2:ひとりは社会的な死ね