死武専生に鉄腕バーディ2期7話を見せてみました

――――視聴終了――――

キ「ああああああ、気持ちが不安定になるうう」
 じたばたじたばたと這いずり回るキッド。
パ「お姉ちゃん、キッドくんがいつものあれだよ!あははは」
姉「落ち着けキッド!誰だよもう、この回見ようって言ったの」
★「うはははは、最高!つええなこいつ!戦ってみたくなったぜ!当然俺様が勝つけどな!」
「!?」
 突然の大爆笑に一瞬固まってしまう一同。
ソ「こっちはこっちで大爆笑だぜ……、いったいなんだってんだ」
マ「原因はおそらくここよね、Bパート入ってからの乱痴気騒ぎ」
椿「私、アニメとかよく分からないけど、ここだけ他と浮いてますよね。これって……」
キ「(椿のセリフを遮るように)そうだ、それがいけないんだ!これをみろ!」
ドン!とテーブルには紙の束が置かれる。膨大な量だ。
姉「なんだこれ」
キ「キャラ表だよ、登場人物達を描くに当たっての指標になるもので、いわゆるお手本だ。これに沿ってキャラを描く!それがアニメーターというものだ!」
マ「つまり、それに従ってないからキッドくんはそういう有様になっていると」
キ「そう!なぜこのパートを担当したアニメーター達はキッチリカッチリ設定に従わんのだ!」
★「さっすが、優等生らしいお答えだな。キャラ表?設定?そんなもん破るためにあるんだよ!つまり、何事にも縛られない俺様最強ってワケだ」
キ「それでは秩序が乱れる!清く正しいシンメトリィが破壊されたら、ああああああ」
パ「きゃははは、おもしろーい」
姉「ねぇ、わたしもよくわかんないんだけどさ、つまり何が良くて何がいけなかったのこれ?」
 突然核心を突く姉に一同静まり返る。
姉「……あ、あれ、なんかまずいこと……言っちゃった?」
ソ「よし。順序立てて整理していこうぜ。まずAパート、まあ日常シーンがメインだな。ここではキャラ表に従って作画されてると思うぜ。特に指摘することも無いな」
マ「で、CM明けで、突然のテロ攻撃を受ける。ここから急に線が単純になっていくわね」
パ「あはははは、おでんみたいのがとんでるー」
ソ「敵側の四足歩行のロボットだな」
マ「……あれ?前のシーンではCGじゃなかったっけ、このロボット」
椿「まるで質感が違うような……」
ソ「人間とロボットの接近戦をスピーディに描写にするにあたって、CGと質感が乖離してしまうことを避けたかったんじゃねえのかな」
シ「いいところを突いたね、ソウル」
マ「シュタイン先生!」
シ「CGは、圧倒的な暴力を誇る異物であることを表現するために用いられることもままある。ここまでではそれはうまく表現されていた。だが、彼らの前に立ちはだかったアンドロイドであるヴァイオリンもまたそうした異物であったわけだ。ならヴァイオリンもCGで描くべきか?そうではない。彼女は人間の形を取っていて、そして人間側の味方だ。Aパートでバーディの世話を焼いていたヴァイオリンと同一人物だ。ここで戦闘はロボ側からの殲滅戦から、ヴァイオリンの肉弾戦に突入する。ヴァイオリンの領域に踏み込んだそれらはすでに暴力の化身ではなく、哀れに散っていく獲物だ。CGの重みを捨てたロボット達は肉塊となって散っていく。はたして、狩猟者の立場は逆転したわけだ。あれはロボットの破片ではなく肉塊。暗い照明の効果も合わさって、なんとも凄惨なシーンとなったわけだ」
マ「長い解説ありがとうございます、先生。無機質であれ有機物であれ、死は平等にやってくるということを現しているんですね」
シ「そうだね」
キ「まてまてい!それはキャラ表を守らなくていい理由になっているか?」
マ「なってるじゃない。凄惨な殺戮劇の前に、人の輪郭というものは危うくブレるってことじゃない」
キ「し、しかしだな。あまりにも早業すぎて何がどうなっているのか把握が難しいし、キャラ表通りに沿ってだな……。まあいい。これが演出の意図通りだということは認めんことも無い。しかしだ!作画監督の修正はどうした!顔の修正くらいはしてもいいのではないか?」
ソ「ヴァイオリンの敵を執拗に殴りつけるバーディは鬼気迫る表情だったじゃないか。その後の、バーディの荒れ狂う心情を見つめ続けていたつとむの泣き崩れる顔もな。作画を演劇に例えるなら、これは名演技だったと思うぜ」
椿「つまり一連のアクションは作画暴走というものではなく、演出通りだったということですね」
キ「果たしてそうかな」
★「もう結論出たじゃねえか!まぁたぐちぐち難癖かよ」
キ「もし君らの言うように演出通りなのだとしたら、それは片手落ちであるとあえて言わせてもらう!」
★「なんだとぅ?」
キ「いいか、湯は突然沸騰するものではない。感情もまたそのひとつ。沸点に達するまで、時間を要するのだ。要するに「タメ」だ。この演出にはそれが欠けている。手順を追っていけば、皆もっとすんなりとこの演出に入り込み、バーディと魂共鳴が出来たことだろう」
ソ「最初っからクライマックスだったからなあ。それにヴァイオリンは人じゃないよな、感情は無いはずだが」
シ「そこもこの話のひとつのポイントだね。バ−ディが思い描く美化されたヴァイオリンは、本当にただのアンドロイドだったのか?彼女が亡くなってしまった今、それを確かめる術はもうない」
椿「アニメって深いんですね……」
★「考えすぎじゃねえのぉ?アニメってなあ、バシバシっとぶっとばせばそれでいいんだよ!」
キ「あーーーーもう!なぜ誰もキッチリカッチリやってくれんのだ!」
 結論は君の中に。