じゅじゅるさん。2

じゅじゅるのへたれ感想ブログ

君は「エクスメイデン」の勇姿を見たか! 〜舞台は放課後から居酒屋へ〜

GWど真ん中、皆様、どのようにお過ごしでしょうか。「今日は平日だよボケ」などツッコミが聴こえるようですが、そんな忙しい方、特に忙しくない方にも今!オススメのアニメがあります。


エクスメイデン
http://www.xmaiden.jp

西暦20XX年、突如現れた謎の生命体(フェロウ)
その凄まじい攻撃に、人類は苦戦を強いられていた。
しかし人類最後の希望、搭乗型フェロウ殲滅兵器「エクスメイデン」が、今動き出す。


というよーなあらすじが公式に載っていますが、もうざっくり説明しますと、CGの女の子たちがあーでないこーでないとボケて突っ込むコントアニメです。
最近だと「てさぐれ!部活もの」などに近い、「声優さんにある程度自由にアドリブを多く含む演技をしてもらい、その独特の空気感を楽しむ」といった形態のアニメとなっています。

もはや斬新とは言えなくなったこのスタイルですが、この作品を見ていてすげーと思った箇所がいくつかあります。
まずはじめに「いいなー」と思ったのは、CGモデル(MMDなのかな?)がかなりかわいい、ということ。
不気味の谷はとうに超えて、もう純粋に愛でる事が出来るレベルですね。
FBCさんの魅力的なキャラデザが活かされています。
CGやMMDで人物を描くアニメに出会うと「まだ発展途上の技術だからある程度の粗はご愛嬌」みたいな補正がかかってたんですが、もうそういう時代は終わって、CGやMMDモデルにも純然たるかわいさを求めて良いフェイズに移行しているなあとここ数年のアニメを見ていると思うようになりました。
このアニメは基本カメラ固定で、キャラとカメラの位置も一定を保っているため粗は感じにくくなっている一方、「カメラ固定故に常に芝居を入れないと不自然になる」というジレンマも持ち合わせています。
その辺りの細かい芝居付けも「モーションアクターさんが入っているから」だけでは説明できない魅力――髪をかきあげるはるみさんの妖艶さったら!――を発揮しつつあります。血のにじむ積み上げを感じます。


次に、どこまでが演出(や指導)でそうでないかが分からなくなる「間」の取り方。
第一話では隊員達と長官の初顔合わせが描かれるのですが、それぞれがどういう人間か分からなくて(真ん中に見える地雷みたいなやつがいるし)遠慮しあう間がミョーにリアルで、変な笑いを生み出してるんですよね。
なんかもう、「大枠だけ伝えられて初顔合わせのまま収録が始まってしまったのでは?」みたいな、アニメの隊員たちと声優さんの状況を勝手に想像してシンクロニシティを覚えるくらいに生々しいんです。
アニメ作品では中の人の存在を想像させてはいけないのだなと思い込んでいたんですが、手法によっては「ガンガン素を出していこう!」みたいなのはアリなんだな、と感じる次第で。
このあたりはどのレベルまでが演出家の指示で、どの程度声優さんが場をコントロールしているかが曖昧で想像の部分が多いのですが、収録現場を勝手に想像してしまい含み笑いを禁じえません。
特に一話後半の内田真礼さん演じる赤丸純ちゃんの人のセリフに被せたり黙ったりするウザかわいさはたまらんなー。どのくらい計算なのかなー。


そしてそのふたつに関連して、いちばん強く驚き、「ほほぅ」ってなったのは、最近の声優ラジオのムーブメントを強く感じさせる「居酒屋感」。
最近の声優ラジオは、(本作にも雪村まつり役で出演している)パイセンこと矢作紗友里さんがパーソナリティをつとめる「矢作・佐倉のちょっとお時間よろしいですか」、「至近距離での殴り合い」と、何故か格闘技で例えられたりする「洲崎西」などの、気心の知れた相手との遠慮のないぶっちゃけトークが売りのラジオが人気を博しています。
それまでの若手声優さんの「ふんわりとした」「妖精のような」みたいな現実離れしたイメージから脱し、一杯引っ掛けてるテンションで叩き込むワードの数々が実に居酒屋じみていて、親近感を覚えるんですよね。「声優さんもお酒飲むよねそりゃあ」っていう。
本作「エクスメイデン」にもそのような「近さ」が滲み出ていて、本編はもとより、まさに居酒屋を舞台にしたおまけムービー「居酒屋たまき」*1では、もう「演技」という二文字が消えているかのようなナチュナルさ。

なんちゅーか、「あっ……」とか「……え」みたいな呼吸のタイミングから芝居臭さを感じないんです。その理由は、声優さんが吹き込んでから絵作りするプレスコ方式であるというのがまずひとつ。そして、最近の声優ラジオの「台本があるのか無いのか分からない、パーソナリティ同士の気安さから生まれるトークバトル」の輸入にある、んじゃないかなあと思うのです。
矢作さんの独特の間の取り方、低温なツッコミなどは特にスッと耳に入ってきますね。なじむ!


以前の声優ラジオや部活アニメから感じた女子校っぽさ、と言いますか、近くにありながら遠くに存在する空間を愛でる、あの愛しき「放課後トーク」の雰囲気から一歩出た、大人の擦れた感じをかいま見せる「居酒屋トーク」がラジオを席巻し、今、こうしてアニメ界に輸入されつつある現場に、僕は立ち会った気分でいます。悪くないぜ。


今なら何故か全話無料公開してるし、全部見ても気軽に見れる長さです。居酒屋行く気分で、みんなで見ようぜ、エクスメイデン!

*1:本編より話数が多いのでどっちが本編か分からなくなってるカオスっぷりも良いですね