アイドルマスターシンデレラガールズ 24話感想 〜「何もない」まま駆け出した君へ〜

本日、島村卯月ソロ曲「S(mile)ING!」が収録されたCDを買ってきました。
2012年に発売されたCDということもあり、Amazonでは24話放送後には一時品切れにもなったらしいですね。
私自身も24話に感化されたクチでして、数件はしごした末に無事入手できました。
アニメ効果しゅごい。

THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 010 島村卯月

THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 010 島村卯月




24話で印象的だったのは「星」というアイテムの使い方。
常務と武Pの会話でときおり、アイドルの輝きを星に例える場面があります。
その星が、24話ではクリスマスの飾りとして登場します。アイドル達の願いや夢をそこに記し、凛と未央がそれを叶える、と。
集まった星に書かれた「願い」は卯月へのエールが大半で、厚紙に貼られたそれは寄せ書きに近いものとなっていました。
しかし、当の卯月は本番当日になっても願い事が浮かばない。仕事を休んで、ライブ当日まで悩んでも何も書けなかった。
凛は何も書かれていない星を卯月のポケットに挿し入れます。
これはものすごく勇気のいるエールの送り方だと思います。
凛が卯月にかけられる言葉の全てはすでに公園でありったけぶつけてしまって、伝えるべき言葉はもう尽きている。
凛も未央も武Pも、結局「笑顔が良い」「キラキラしてる」以外に、卯月の「持ち物」を言い表す事が出来ませんでした。
卯月に「何もない」と思わせてしまった一因は、そう言った周囲の言動にもあるのかもしれません。
そんな卯月に凛が取ったこの行動は、「何もなくても走り出せ」という、頼りなくて残酷で、でも結局みないつかはそうするしかない、アイドルの厳しさについて雄弁に語っているな、と思いました。
島村卯月には本当に「何もない」のか、走り出さなければ本当のところはわからない。本当に何もないという残酷な未来が待っているかも知れない。それでも、まだ出来る事があるならば。


卯月は悩みを解消できないまま、ステージに挑む事になります。
ただ、空っぽの星を抱えたままで。




深い森の中、きらびやかなシルエットをかき分け、ジャージ姿で駈けてゆく卯月。
胸の星の淡い輝きだけをたよりに、ただがむしゃらにまっすぐ走る。
滴り落ちる汗をそのままに、上擦りそうな歌声で、今はやれる事をやる。
ガラスの靴もドレスも今はもうないけれど、それでも駆け出さなければ本当の答えは見出せない。




CDを聴き込んでから改めて視聴する24話は、もう涙なくして見れなくて、嗚咽を漏らしながらただ泣いてばかりでした。
そのままずばりというか、卯月のこれまでとこれからが敷き詰められている「S(mile)ING!」、ぜひフルで聴いてもらいたいなあ。
ステージ上の大橋彩香さんの歌声がこれがまた、感情の昂りをあえて抑えず、しかし、アイドルとしてのステージを崩さない、ものすごく厳しいラインで歌っていらして、感服するほかありません。
もちろん、アニメ単体でも素晴らしいのだけど、CDとの微細な違い、是非皆さんにも体験してもらいたいし、島村卯月の物語を吸収した後で聴く「S(mile)ING!」も別の彩りに満ちあふれています。




いやまあ、ほんとにしまむーには引っ張り回されました。
23話の「何もなかったらどうしよう」「笑顔なんて、誰にも出来るもん!」ていう、しまむーの焦燥感と来たら。
何もなかったらどうしよう、って、ものすごく怖い想像で、10代の頃に壁に突き当たった人たち、つまりほとんどの人たちには他人事でない悩みに聴こえたのではないでしょうか。
そこももう、自然と落涙してて、自分の柔らかい部分を刺激させられた気分に陥りました。
あそこの大橋彩香さんの熱演もね。あの割れそうで可憐な声にしてやられましたよ。
そこからの「S(mile)ING!」までの、ふらつきながら浮上してゆく姿にただもう無言のエールを送るしかありませんでした。



あと1話残ってるわけですけど、今は卯月の出発の門出を照らす一振りのペンライトの気分で、その時をただ静かに見守るだけです。