奈緒、シスター、詩帆と3人ものHiMEが退場。楯が消え、またしても舞衣が追い込まれる展開に。大切なものが何かを思い出したなつきが舞衣に寄り添う。弟も好きな人も失い、心を動かしかけた黎人は敵だった。命は盲目に従う道具だ。もう頼れるのはなつきしかいない。なつきさんはいつの間にかみんなをフォローする役割を担ってますね(そんでフォローし損ねる)。なんとか舞衣さんに正気を取り戻してもらわねば。
今回のポイントは
- 「本当の気持ち」と向かい合う舞衣
- 奈緒の暗い過去
- なつきの巣立ち
といったところか。
特になつきの巣立ちってのは今後を占う上で重要な要素であると言えるでしょう。今回の回想シーンをふまえて、なつきと会長さんのこれまでの会話を顧みると、一匹狼ツラしていたなつきさんが何かと会長さんに依存していたのが良く分かりますね。その会長さんに「お前や周りの人間に感謝している」と感謝を述べつつも、彼女をきっぱりと拒絶しました。
このアニメ、なつきのドラマを追って行くとなかなかヒロイックな感じ。例えばこんなん。
孤高の一匹狼が群れをなす羊達に囲まれ一時の平穏を得るも、羊飼いに周りの羊はみな狼だと告げられ、再び孤独に身をやつす。疲れた心を癒してくれる羊は、羊の皮を被った汚らわしい獣だった。狼は自分を付け狙うハイエナに己の姿を重ね、その哀れな姿から過去を許容する心を獲得し、牙を取り戻す。そして狼は、かつて安息の日々を共に暮らした、傷ついた狼のために、その力を使う決意をする。
とか。舞衣さんよりずっとヒーローっぽい感じがするのさ。デュランは犬コロだけど。恋は戦いというキャッチコピー(今回のサブタイトルでもある)から外れる存在だったから*1、どうしても話のメインに上がる事は許されず、おマヌなところばかり拾われてきたなつきさん。しかししかし、裏で情報収集してたり、バイク乗りだったりと、記号的にもヒーローっぽい要素が備わってたんだな。なつき視点の舞-HiMEでもう一本作れるんじゃないだろうか。
ほかに気になった点を2、3拾ってみる。
- 会長「なつきは私の」詩帆「お兄ちゃんは私の」
独占欲の強いキャラ2名。彼女らには相手の気持ちを慮る余地は無いみたい。
- 楯の蛙とゲンナイ
これは単なる偶然の記号の一致なんだろうけど。楯と詩帆が出会った時に、楯がふざけて手にぶら下げていた蛙。邪魔だからと詩帆が片付けてしまったゲンナイ(蛙)。彼女の中で蛙が強烈なフックになっていた……、とか。ま、偶然だろう。
- 詩帆と舞衣の言い争い
全身を使って叫ぶ詩帆、まさに全身全霊と言った様相。動画枚数も多く(たぶんね)、力の入れ所が計算されている感じ。その後の、楯を失って絶叫しつつぶっ倒れる舞衣もなかなか。涙をこらえて舞衣を抑え付けるなつきと執拗に追い払う舞衣。ぐっと来ました。この辺りの、観客の心を掴む芝居(アニメーション)が大変巧みでありました。
個人的にはかなり心を揺さぶられた1話。彼女らがコミュニケートしようとしないのは今に始まったことではないのだけれど、そんな断絶された関係から一歩踏み出したなつきの姿が非常にかっこよかった。
*1:武田君の話はついぞ言及されることはなかった。たぶんなつきさんもやつのことは忘れてる