シン・エヴァンゲリオン劇場版ネタバレあり感想

シン・エヴァ見てきました。以下、ネタバレありになります、未見の方お気をつけて。一言添えるならばめちゃ面白かったです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
シンジだってシンジなりにみんなにコミュニケーション取ってきたじゃん、てのが回り回ってようやく彼に帰ってきたという話で、「Q」で周りのみんなが辛辣だった理由も語られ、もつれにもつれた紐がスルッ……と解けていくさまが実に爽快でした。
「Q」であれだけシンジにそっけなかった綾波(ソックリさん)がお姉さんがたにあっけなく溶け込んでいくの結構残酷に思ったんだけど子どもに本を渡されるくだりでハッとなったんですよ。シンジがあれだけ本を読ませようとしたのは「まず『知りたい』という感情を持たせたかった」からなのでは。そういう導線があってはじめてソックリさんは知的好奇心のある少女に育っていったのだろうし、ヒカリに教わった言葉の数々が水を吸った綿のように彼女の中で膨らんでいきます。
Qの真っ当な続きで、あそこで伏せられた数々のカードがオープンされることでみんながシンジへ抱く感情の複雑さが浮き彫りになっていく。
「行きなさい、シンジ君!」と背中を押してしまったことに後悔するミサトさん。荒ぶる感情をひた隠しにし、厳しい態度を崩せなかった彼女の心労察するに余りあり、前回の記事
「Qではミサトがヴィレの指令にまで這い上がる物語を見たかった」と記したわけですが、彼女がサングラスの下に時折見せる苦悶の表情だけでそれらはじゅうぶんに語られていたように思います。
Qで新たに登場した人物たちも有機的に機能していき、内向きになりそうな空気をぶち破っていきます。シンジが向き合うべきは父やミサトさんやアスカたち旧ネルフの人々だけでなく、彼がやってきたことで傷ついた人、亡くなった人というのはたくさんいて、そこと向き合わずにはどこへも進めない。それをシンジは第3村で学んだのでしょう。彼がヴィレに戻ってきたのは世界と向き合うことへの表明でもあるのです。シンジに向けられた銃口は真っ当な抗議であるし、シンジはそれに怯まない。また、ミサトも最期は彼を感情だけでなく、ネルフの責任者、シンジの保護者の立場に立ち返り(リツコ曰く、感情で動くとミサトは失敗する)使命を貫く。世界との対峙。それが彼らに必要でした。
 
シンジが各登場人物と対話していくシークエンスはこれまでのシリーズで描かれてきた補完計画とは逆で、シンジを媒介にして各登場人物の心の棘を一つ一つ拾い上げていきます。カヲル君もまた救われる側であるという描きは白眉で、輪の外であるかのような彼がぐっと内側に食い込んできたの、カヲル君自身にとってもびっくり展開だったでしょ。
シンジは救われていいし、また救われた彼は人を救うことだってできる。ここにきてひとりひとりと顔を向き合わせることが出来たのは序・破・Qの積み重ねと前半の第3村での生活あって。他人を他人と認識し、ATフィールドで隔たれた溶け込まない魂の一つとして補完ではなく対峙していく。これは現実の話なのだと。
 
いや、もう、全部面白かった。拾い損ねもないし、戦闘シーンも満足のいくものでした。前回はもっとさっぱりエヴァとお別れするみたいなこと言ってたけど、送別会みたいな華やかさで見送りたいですね。エヴァへの愛を取り戻せてよかった。さようなら、全てのエヴァンゲリオン。オレのクラッカーを喰らえ!