エヴァ破感想(ネタバレあり) −彼らが幸せになっていい理由− とかいろいろ

 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」見てきました。とにかくすんげーおもしろかった!!みんなみれ

 というわけで、破の感想を書くよ。
 未見の人は気を付けてね。
















 とにかく第一印象として、みんな「丸い」。人を寄せ付けない尖った孤独感がどんどん薄まっていく様子が描かれています。
 近くに寄ったクラスメイトにケリをかまして携帯ゲーム(起動音がなぜかワンダースワン)に没入するアスカは、SDATで現実から耳を塞ぐシンジの姿を想起させます。しかし、3人でタッグを組んで以来からアスカの歩み寄りが始まり、綾波主催の食事会と日程が被ってしまった松代の実験に志願し、綾波の苦労を水の泡にしないように気を使います。「ひとりでもよかったけどみんなといるのも悪くない」という結論に達したのです。
 綾波もシンジとゲンドウの仲も持とうと慣れない料理に挑み、さらにはアスカさえも食事会に誘います。こんな積極的な綾波見たことがない。
 ここがテレビ版との決定的な違い。どれだけ人と触れ合っても孤独感を拭いきれなかったテレビ版のチルドレン達と違い、身を寄せ合う幸せを共有しようとします。
 それらヒロインの変化を引き起こし、またヒロインの変化で自身も変わって行くシンジ。オーラス、ひとり殻を閉じてしまいそうになる綾波を、シンジは「来い!」と力強い言葉で現実に引き戻します*1
 成長と変化の可能性を自ら閉じてしまったテレビ版とは違い、厳しくつらい現実を打破しようとする力が、破のチルドレン達にはあるのです。
 それが見ていて、とても嬉しかった。彼らは幸せになっていいんです。

 だからこそ、参号機の悲劇はことさらつらかった。参号機のテスト直前、アスカがミサトに電話越しで心情を吐露する場面はもうほんとにせつなくて。だって参号機じゃぜ!?言っちゃあ悪いが死亡フラグじゃん!「今日の日はさようなら」の美しい旋律と、無残な殺戮シーンのアンバランスさに震えを覚えました。それまでの「何もかもがうまくいく」という雰囲気が一瞬で瓦解し、奈落に叩き込まれた気分でした。だから、シンジがそれでも立ち直ろうと初号機に再度乗る決意をし、「綾波を返せ!」とひとこと強く言い切っただけで電池切れの初号機を再起動させてしまうクライマックスには大いに救われました。や、もちろん予告のアスカさまの笑顔にもナ!


 そのたきになったとこ
・新キャラ・マリさん。人を食った飄々とした性格と、苦を苦とも思わない芯の強さは今までのエヴァキャラとは一線を画しています。自分の欲望に忠実なようで、「自分の欲望のために大人を利用するのは忍びない」とさえ言っています*2 *3。とにかくイカスかっこいいキャラ。マジメな役の多い坂本真綾の新しい一面が見られます。とにかくすげえ
・マリが発動する、弐号機の裏コード・ザ・ビーストが非常にかっこよい。制御棒が背中におっ立ち、使徒と特撮映画ばりの怪獣決戦を繰り広げます。アスカの弐号機になにしてくれてんねんとは思いましたが。コアの入れ替えなしに弐号機とシンクロしてみせたのはどういうカラクリだろう。マリは人間じゃない、もしくは改造人間か何かなのかな?それとも、新劇場版のエヴァはコアの入れ替えなしでも適正があれば動くのかな?
・加持さんとマリの英語が流暢(日本人的にはそう聴こえる)なのが驚き。すごい。アスカのドイツ語披露の場面がなかったのは良かった(申し訳ないけど、あんまうまくねえし……) 。
・アスカと加持さんがまったくの他人。言葉や視線を交わす場面すらない。なので、気持ちが素直にシンジに向くのは自然な流れに見えます。
・アスカに対して「貴重なサンプル」発言で好感度下がりまくりのリツコさん。誰かが書いてたけど、あれは使徒に侵食されたアスカを処理させないための方便なんじゃないかな?というのは、おお、と思ったんだけど、ちょっと持ち上げすぎか。綾波の手の治療をしてあげたりと、発言はドライだけどチルドレンに対するケアはちゃんとしているのかも。
・今回は序とシンクロしている箇所が何箇所か。ビールをどかすとアスカの乳首が!というところをストローで隠すのは、序のシンジの股間をつまようじ入れで隠していたアレとあわせて天丼なのかな。クライマックス、通信の届いてないところでミサトさんが「行きなさいシンジ君!」とエールを飛ばし、シンジがなけなしの勇気で突貫する場面は、序での「私は初号機パイロットを信じます」→シンジ、歯を食いしばってコンソールに手を伸ばす、のリフレインとも言えます。言葉は届かなくても気持ちは届くということでしょうか。それを繰り返してやるのは、ふたりの信頼関係がそれだけ強固なものという表れなのかもしれません。
・今回、話を繋ぐキーワードが「匂い」。本来の海の匂い、土の匂い、LCLの匂い、綾波の匂い等々、匂いというキーワードがあちこちに散らばっています。シンジたちが普段、人口肉を食していたり、赤い海には生命が宿っていないことが今回明かされていて、彼らにとってはそれがあたりまえ。しかし、世界には様々なものに匂いがあり、そこには生命が満ち溢れている。かつての姿を取り戻そうともがいているのです。加持さんが子供達を海洋水族館に連れて行ったり、シンジにスイカの世話の手伝いをさせたのは、そのことを伝えたかったからでしょう。
・戦闘シーンがすべて超高水準で興奮しまくり。狭い通路を四本の脚で滑走し、慣性で振り動く上半身がまたかっちょよく、新しいエヴァの戦闘バリエーションを見せ付けた仮設五号機。自爆してしまったのは残念だけど、冒頭のツカミとしてはこれ以上ないヒキ。弐号機の空中戦もまた鮮やかで、天才少女・アスカの初登場シーンは大変鮮烈。最後はイナズマキックですよ!爆弾型使徒のキャッチ作戦も、武装都市の荒唐無稽なギミックが楽しい。
 そのあらゆるところでCGが盛り込まれている戦闘シーンですが、どれも違和感を感じない素晴らしい出来で、エヴァに新しい伊吹を吹き込んでいます。
・マヤさんのニューバランスを見て、「趣味が合う!」と同調してしまったり。
・全体的にアスカがエロかわ。テレビ版では寝ぼけてシンジの横に寝てしまうアスカだったけど、今度は自分から「横にいさせて」とシンジのとなりに。そこに性的ないやらしさを感じさせないのがすごい演出力。テストパイロットのスーツがエロかわ。エレベーターの中で身支度するアスカのキュートさは反則の粋。あとエプロン姿とぱんつ姿など、とにかくさわやかにエロい!それだけに後半の展開がつらいのだが。俺のようなアスカファンには特に。次回予告がなければ暴れてたかもしれない……。

 ということで、語る要素てんこ盛り。どっちかというとストーリーをじっくりと見せる路線だった序に比べ、娯楽作品として特化しているイメージの破。まさに序のイメージを「破」る力強い映画でした。

 とにかくみるべし。

*1:たぶんシンジが誰かに命令形で言葉を発するのは、アニメはもちろん、漫画やゲームなどのあらゆるメディアミックスを含めても初めてのことかと思われます。それだけ意味のあるセリフ

*2:あまり忍びなく思ってない口調で

*3:ついでに言うと、直前に加持さんが「大人の都合で子供を利用するのは申し訳がない」みたいな事を言っていてふたつのセリフはついになっています。たぶん加持さんのは本音なんでしょうけど。こんなところにも基本生真面目なエヴァキャラと、いいかげんなマリとの違いが表現されています