バンドリ再々放送!今こそ見てほしい!山吹沙綾のすすめ

 今年1月に始まったアニメバンドリ、なんと本日からBS11をはじめ、各地で再々放送がはじまります。
 アニメから始まり、スマホゲーに課金して不思議の国のアリサを愛でる毎日を送っておりますが、その想いをブログにしたためることを怠ってきたことを悔いております。
 再々放送がはじまるこのタイミング、逃してはならない!僕がアニメバンドリでぐっと来た山吹紗綾という娘について綴りたいと思います。


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 あのとき紗綾は何を思ったか。複数回見ていると、彼女が見せる一瞬の表情も見逃せなくなります。
 悲しいことに、紗綾は自分のグループ内での立ち位置に自覚的な子です。友達やクラスメイトと過ごすとき、彼女は自身を何かあったときのための備えと規定するクセがあります。

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 舞台に釘付けになるバンドのメンツからすこし離れて全体を見回すポジショニングをする。こういうことを自然にしてしまうのが彼女です。

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 文化祭で実行委員のサポートとして副委員を任される場面では、彼女の周りも彼女をサポーターとして認識していることが分かります。
 サポートとして求められてるポジションを自然とこなしてしまう。それは体の弱い母の代わりを長年勤めてきた経験から来ているのでしょう。
 そういった、周りからの求めに従って過ごしてきた沙綾が選んだ道を、彼女の表情や仕草から辿ってみてください。また違う景色が映るでしょう。

 アニメの1話で香澄の高校での初の友達として登場し、第8話で走り出すまで、沙綾はどんな想いを抱えて過ごしてきたのでしょう。
 再々放送では、例えばそういうことに注目して見て欲しいです。

アニメ「ケロロ軍曹」のおどろきパロディ3選

アニメ「ケロロ軍曹」には様々なパロディが織り込まれています。
その中から、個人的に「これはすごいリスペクトだ」と感じたパロディをみっつご紹介します。

 

 

・アニメ版デスノート最終回
第185話「ロボボ 機械化大作戦 であります/タママ ノートですぅ であります」(アニメ第185話 Bパート)
DEATH NOTE 最終回より


その精緻な絵柄とキレのあるセリフなどで、のちの漫画やアニメに大量のパロディを生んだことでも知られる「デスノート」。
本エピソードはまるまるデスノートパロディで構成されています。デスノート的アイテムを拾ったタママが暴走した結果、月くん的な最期を迎えるまでを半パートで描いています。
本エピソードのパロディが他のデスノパロディと一線を画しているのはアニメ版最終回をパロってきた点にあります。
アニメ版デスノートは原作のラストとは異なる、銃弾を受けて逃げ惑う孤独な月くんの姿はあまりに憐れで、そのアニメオリジナルの解釈に対し批判もあり、一方で絶賛もありました。波頭の夕暮れが、青春を賭けた歪んだ情熱の放つ最期の輝きとなり彼に降り注がれ、色濃く影を作ります。アニメ制作陣の、原作への迸るリスペクト溢れる名シーンだと僕は思います。

印象的なシーンなのですが、賛否あるラストシーンの改変とあって、パロるには勇気のいるシーンでもあったかと思います。
しかし、元ネタを知らない人にも、ひとつかみの哀愁を漂わせるタママの末路に、アニメデスノートが最後に魅せた熱量は伝わったんじゃないでしょうか。それほどに力の入ったパロディです。煙突のてっぺんでタママを見下ろしながらカレーを怪しくむさぼるクルルが芸コマです。

 


ナウシカ王蟲と破片
226話「冬樹 遠い海から来たカメ であります」
映画・風の谷のナウシカより


「薙ぎ払え!」や火の七日間等、パロディされた例は数知れず。不朽の名作「風の谷のナウシカ」のパロディです。
今回は、風の谷のナウシカの前半部分の見せ場のひとつ、暴走王蟲を鎮めるため、単身メーヴェを駆るナウシカのパロディです。

このシーンは、ユパさまに迫り、追い越すメーヴェが反転し、木々を粉々に凪ぎ払いながら王蟲メーヴェに肉薄する描写をワンカットでおさめた大変重たいカット。特に、ひとつひとつ描き込まれバラバラに飛び散る破片の物量に驚かされます。

これをケロロ軍曹は完コピしてしまうのです。テレビアニメの枠内で!

上記の比較画像からもそのとんでもなさは伺えます。原典への敬意。パロディはこうだ!と叫んでいるかのような、ケロロ軍曹スタッフ渾身の回答。

是非堪能していただきたい。

 

 

・宇宙渡辺久美子
第66話「ギロロ 愛の救出大作戦 であります/夏美&小雪 ドッキドッキ初デート であります」(アニメ第66話 Aパート)

……これはアニメパロ、というか人物パロというか。変化球です。
アニメ版「ケロロ軍曹」において切っても切れない存在のひとつに「機動戦士ガンダム」が挙げられます。
軍曹がガンダム好きなのはもちろん、劇中で登場するガンプラの数々にニヤリとしたガンダムファンは少なくないはず。
ガンダムパロディはケロロ軍曹はもとより、様々な作品でお目見えすることが多いのですが、そんな中、ケロロ軍曹でないと難しそうなパロディがこちら、「宇宙渡辺久美子」です。
渡辺久美子さんは本作の主人公・ケロロ軍曹の声優さんであり、且つ、「機動戦士Vガンダム」で個性的なヒロインとして印象の強いカテジナ・ルースの声をあてた方でもあります。
両作品のファンならば、いつVガンダムパロディが飛び出すかやきもきしていたことでしょう。僕もそう。
ケロロ軍曹のレギュラー陣は名作アニメに関わった人も多く、例えば草尾毅さんにスラムダンクネタが振られる事も。
そんな伏線?があり、シリーズも二年目に突入。ファンからの熱いエールが最高潮に達した頃に繰り出されたパロディが「中の人の宇宙人バージョンの登場」という超変化球。
大興奮の軍曹(CV:渡辺久美子さん)を尻目に、サッとサインを書き、名台詞「冬が来るとわけもなく悲しくなりません?」を残して颯爽と去っていく宇宙渡辺久美子(CV:渡辺久美子さん)。
渡辺久美子にサインをする渡辺久美子……。自分でも何を言っているかさっぱりわかりませんが、このような異次元パロディが成立するのもケロロ軍曹の強みでしょう。

 

 

原典へのリスペクトを元に、あの名作のあの名シーンが見事に再構築された姿を目撃したとき、私の胸に去来する懐かしさ、そして新しい驚き。私の好きだったアニメがあの頃とはまた違う形で世に問われたとき、去来する戸惑いとともに、新しい風を感じてみたい。そんな風に思うのでした。

はてなブログに移行しました

デザインなどはまだちょっと調整します。
今後ともよろしくです。

BanGDream! バンドリ感想SS風 〜少女Aの独白〜

 ポピパとは、眩しさ、かな。……恥ずかしい。自分の知らなかった輝き、今からでは手に入りそうに無いと諦めていたもの。



 印象深いのはおたえ攻略会議。あいつ神出鬼没過ぎ。おたえの彼氏発言の辺りとかさ。なんのこたあない、しょーもない話で転がりながら笑いあえる。そういうものの輝きに初めて触れた気がする。


 それまでは正直、それほど身は入ってなかった。でも今考えたら、引っ掛かったところはいくつもあった。


 こんな話を聞いた。おたえと香澄の夕暮れのギターレッスンとかさ、……まああれむかつくけど、先生が咎めず無言で去っていったらしい。わかるよ。むかついたけど。あのときにしかない、かけがえのない時間が夕日に照らされている。つたない旋律が言葉より多くのものを語っていた、ってとこか。クサいけどな。


 で、おたえがクライブに参加するだろ、ごく自然に。香澄の妹だけが、は? ってなるやつ。なるよなふつう。
 おたえドキドキ作戦におたえが参加してはいけないとは言ってないってか。とんちか。
 まあ多分、ミッションはクライブ前に達成してたんだろうね。香澄がさ、地味な練習をあんなに楽しそうにするの見てきたんだもの。なんか、うずくよな、香澄のああいうところ。りみもきっとそうだったんだろ。


 りみは舞台に上がってから変わったよな。文化祭の出し物の提案とか、出来る子じゃなかったろ。一度火が点いたらぐいぐい行くやつとは、意外だった……。あんなに香澄に迫られて逃げ続けた子がさ。それからは要所要所でバンドが行き詰まったら空気を変えようとしたのはりみが一番多いんじゃないかな。最後のオーディションではチョココロネがーって、おどけて見せてた。演奏のミスをフォローしてくれたのもりみだったな。


 おたえの話に戻ると、おたえのやりたいようにやる姿は、オーナーの言っていた「音楽なんて好きなやつが好きなようにやる」の体現だったように思えるな、今では。


 香澄もそういうことが出来る素質のあるやつだったんだろうけど、シャクだけどな。好きなことを好きなようにやるためには、今自分に足りないものに自覚的かどうかってのも含まれてんだろうね。はじめてのオーディションでは、香澄だけが無自覚だった。だから、「お前が一番足りなかった」なのかもしれない。


 沙綾はその逆でさ、好きなことをやるってことに罪悪感を覚えてしまっている。前のバンドメンバー達に悪いところはなにもなかった。ただ、沙綾は応えられなかった。徐々に意識のずれが明確になった。誰も悪くない。ひとつ言えるのは、香澄は、沙綾がいなくて大変とは言わなかった。いなくても大丈夫って言ったんだよあいつ。ビーンボール気味だぞそれ。そうやって、あいつは最後まで急かさなかった。いつでも来ていいと扉を開けっ広げにしてきた。だから来れたのかもな。まあ家族や前のメンバーのフォローのたまものだけどな。


 香澄の声が出なくなったのには驚いた。あいつにもプレッシャーっての、あったのな。まあ、そういうこともあるよ。みんなでボーカルを分担するって言うのは良いアイディアだった。なんか、距離が近づいた、ような気がする。ラーメン、おいしかったよな。


 最後のオーディションは、ミスもあったけどやりきったと言い切れるものだった。オーナーは言葉足らずなんだよな、ったく。でも、なんとかなった。それからは怒涛の毎日。
 

 スペースでは最初で最後のライヴ。演奏してて気づいたことがあった。これから本格的な夏が来る。夏が来たら、もっとバンドがやりたい。そう、ここから始まるって予感がするんだ。



 しゃあねえから、もう少し付き合ってやるよ。ランダムスター、もう雑に扱うなよ。あ、ケースから出すなー!

話数単位で選ぶ、2016年TVアニメ10選

に、参加します。

「話数単位で選ぶ、2016年TVアニメ10選」参加サイト一覧

ルール

・2016年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。

・1作品につき上限1話。

・順位は付けない。


2015年。
http://d.hatena.ne.jp/jujuru/20151231#p1
2014年。
http://d.hatena.ne.jp/jujuru/20141228#p1
2013年。
http://d.hatena.ne.jp/jujuru/20131231#p1
2012年。
http://d.hatena.ne.jp/jujuru/20121231#p1
2011年。
http://d.hatena.ne.jp/jujuru/20120101#p1


それでは行きまっしょい。



ノルン+ノネット 4 微睡みの森
童話の世界のような夢に迷い込んだヒロイン3人。みんなかわいいな。
狼を追いかける赤ずきん、ガラスの靴を探すシンデレラ、魔女の心配をする白雪姫。
もともと童話チックな世界と相性の良いアニメなので、なんかちょっと微笑ましいな、くらいで受け入れることが出来る。すばらですね。
その言葉は本当で、その言葉は夢。
少女達の悩みは森のように静かに秘密めいている。見ちゃいけないものを見てる気分でした。



ベイブレードバースト 14 誓いの決勝戦(バトル)!
僕はバルトとシュウの関係が好きでねえ。
やんちゃで浮き沈みの激しいバルトとめっちゃクールでクレバーなシュウって水と油のように見えるんだけど、馬が合うんだよね。
お互い感情の現し方がバラバラなんだけど、ベイへの熱い想いを理解しあっている。
だからこそ起きた、恐らく初めての激しい衝突。
シュウの怪我をおもって試合を辞退してくれと請うバルトの気持ちがいちがいに間違っているとは言えない。でも、バルトが想うのとと同じ位、シュウはバルトとのバトルを楽しみにしてきた。そのすれ違いね。
ここで大泣きしはじめるバルトもずるいっちゃずるいけど、それをほっとけないシュウもね。友情だよ。
そして激しくぶつかった後の和解を経ての、憂いなしの大一番。見たいものが見れた爽快感ってものがありました。



プリパラ 第105話 ガァルル、目覚めるでちゅーっ!!
プリパラの生んだ「トモチケ」「パキる」という要素をドラマ部分に注力した好エピソード。
ニコンすぐ溶ける。
アイドルのモヤモヤから生まれたボーカルアイドル・ガァルルはパキれないのか。
ボーカルアイドルの命たるチケットをパキッた時に起こるであろう出来事におののくユニコンの反応は真っ当ではあります。
しかし、それでガァルルが望む「ふつうの子」への道を断ってもいいのか。
あのガァルルが慎重な面持ちで「本当にいいのか」と問い直すところから涙腺決壊です。
なんだよそんなこと聞くなよ、いいんだよガァルルがパキりたいのなら。
自分がこうありたいと強く願った時、もうすでにそうなっている。そういうことをプリパラは描き続けてますよね。



SHOW BY ROCK!! しょ〜と!! #11 聖MIDI女学園中等部 あざと学特別講義
ロージアちゃんのあざと学講座。
あー一生講義受けててえ。



クロムクロ 第二十五話 鬼の見た夢
敵を退けた後。かつての仲間に切り捨てられる剣之助。
世界は新たな脅威を求めるかのように胎動する。
厳しい監視の中でのデートは空々しさと物悲しさを多分に含んだもので、ピーエーワークスの培ってきた情景描写の光るシーン。
ピーエーワークスは、秋や冬にどことなく漂う手遅れ感とでも言いましょうか、そういったものを表現するのが上手なスタジオって印象です。



響け!ユーフォニアム2 第五回 きせきのハーモニー
葉月ちゃんが電車内でつり革につかまって上体を前に突き出すとこあるじゃないですか。
あそこ、葉月ちゃんぽくてなんか好きです、ああいうちょっとした描写がみょうにフェチくなるのいいよね。
この全国を賭けた演奏は何度聴いても泣けてきます。
葉月ちゃんが身を屈めて拝む先、カーテンの隙間から一筋光が差し込む。カメラはスッと上方へ。
それは全国への、細くまぶしい一本道のように見える。駆け上がるか転げ落ちるか、カーテンのこちら側の部員はただ固唾をのんで見守る。
勇ましいパートが終わり、一瞬の静寂に小さく息をつく音。麗奈のソロパート、細やかな指が精悍さを含んだ音色を紡ぐ。
久美子の、視聴者の脳裏にひらめくはあの夏の夜の花火の下の、壮絶に美しい記憶。
部員全員の祈りや願いそのもののような渾身の演奏でした。



装神少女まとい #05 特別な普通
お着替え回はジャスティスなんですよ。
かたくなな少女が言われるままお着替え人形扱いされ、あれよあれよと相手のペースに巻き込まれる。
お約束ですが、とてもいいです!クールジャパン!
タイトルセンスもいいですよね。まといの普通がクラルスには特別に響いたんです。



フリップフラッパーズ 第6話 ピュアプレイ
いろは先輩回。
先輩の笑顔で終わるので一見ハッピーエンドのようだけど、なんともいえない後味を残したまま終わる。
先輩の笑顔はまぶしい。しかし、何かしてはいけないことをしたような気がする。
言い知れない不安感を抱えたまま過ごす視聴後一週間は、なかなか味わえない居心地の悪さに包まれていました。
マニキュアのにおいを嗅ぐたびに思い出しそうなエピソードです。
それは、懐かしさと、憧れと、後悔のにおい。



ブブキ・ブランキ 星の巨人 第24話 冒険者
アズマくん、なんで日本に戻ってきたんだろうね。流れでそうなったからって感じで、アズマくん、ほんとぼんやりしてたんだな。
ギーの「道を歩く見ず知らずの臭い息を吐く老人の命が大事だなどと思えるか」という最期の言葉が脳裏を離れない。*1
勇者と魔王は表裏一体などと申しまして、それらは紙一重なのであります。
しかし、アズマとギーは似ていても別の人。アズマが欲しかったのは世界ではなく、旅そのものだと仲間に教えられて気付きます。
平和になったからといって、冒険の旅を終える必要なんてないんですね。翼があれば飛んでゆけば良い。
贅沢に尺を使った後日談を見て、ああ、このアニメは一希東の在り方を誠実に追ったシリーズだったんだなって思いました。
そういや、百合ップルって単語、アニメで聴いたの初めてかも知れない……。



TO BE HERO 第12話 英雄十二日目「パパ そばにいて!」
ミンちゃんの声優さん、月野もあさん。初めてお声を聞くお方で個性的だというのが第一印象だったけど、それだけじゃなかった。
最後のミンちゃんの訴え、「あの農場へ行こう」の「あ」の部分のブレ方がすっごく情感こもってて良かったです。
ミンちゃんになってくれてありがとう。
ふざけた設定に設定を重ねてとぼけてみせた末に見せられた、もうひとりのおっさんとの対決。
欲のかたまりのおっさんと、いつもミンちゃんのそばに居続けようとしたおっさん。
どっちがホンモノか、とかではなく、思いの強い方が生き残る、そういう話だったのかな。
いつかのリフレインで終わる構成も美しい。
日本語版監修・音響監督という役回りだったけど、かなりナベシンイズムの強い作品でした。



今年も色んなアニメに出会いました。
意外な出会いというのも今年もありまして、まだアニメには可能性が眠っているのだなあと実感しました。
「良い」アニメにも色々あって。
熱さや悲しさ切なさ、そして萌えやバカバカしさ、そういった多彩なものを受け取れるうちはまだまだがんばれそうだな、そう思うのです。
今年も一年ありがとうございました。
また来年もアニメで会いましょう。

*1:薫子だったらうっせーボケとにべもなく突っ返したでしょうね。あの娘は周囲の人に目を配ることの出来る娘として描かれてきたから。似てるところと似てないところのはっきりした兄妹だよね

映画「君の名は。」感想 もうひとつの「君の名は。」

ちょっと鑑賞から時間が経ちましたが「君の名は。」感想です。ネタバレありです。



新海誠監督がこれまで描いてきたこと。
それは、青春の全てを投じた恋愛がやがて後方に追いやられようと、「それでも人生は続いて行く」ということ。
彼・彼女が結ばれようが結ばれまいが「あの頃」は二度と訪れず、ラッシュアワーに揉まれ改札をくぐる日々に戻っていく。
そのはかない恋物語が時として永遠の別れで終わろうとも、彼・彼女の人生という物語は続いていくのだ。
そして、「君の名は。」もそうした物語であった。
瀧と三葉はお互いを忘れても、その痛みだけは抱えながら今という時を懸命に生き続けた。
それは何も二人の間にだけあったわけではない。そのことについて記そうと思う。


新海監督の新作映画「君の名は。」は、出会ったことのない「君」と出会うまでに少年少女が日々を駆け抜けるさまを描く。
その結末は大団円と呼ぶにふさわしい堂々としたものだ。
過去作に比べれば爽快な後味となっているが、新海誠監督らしさは色あせていなかった。
君の名は。」にはいくつかの出会いと別れが描かれていた。たとえば、三葉と奥寺先輩だ。


瀧は三葉との入れ替わりによって、憧れの奥寺先輩と急接近することになる。奥寺先輩がのちに「好きだったんだ、私」と述懐するように、彼女は瀧に恋をしていた。
その「瀧」とは、三葉と入れ替わった状態の瀧を指している。
やぶれたスカートにかわいい刺繍を施したり、一緒におしゃれなカフェを巡ったり、ついにはデートの約束にまでこぎ着けた「瀧と入れ替わった三葉」に恋をした。


しかし、奥寺先輩に「瀧」と「瀧ではない誰か(三葉)」を区別する術はない。なんとなく、ざっくりと「あの頃の瀧くん」としか言えないであろう。
鑑賞した我々が映像*1をつぶさに観察すれば「何月何日と何月何日、もしくは何月何日の瀧くん(つまり三葉)が好き」と指摘できるのかも知れない。
しかしそれはあまり意味のある行為ではないのかも知れない。「瀧と入れ替わった三葉」を呼び水として、普段の「本当の瀧くん」に目を向ける時間もあっただろう。
そこはもう時間と感情が溶け合っていて、もはや判別のしようがない。瀧から三葉は去った。「あの頃の瀧くん」には二度と会えない。
未来において、瀧の仲介を経て奥寺先輩と三葉が出会う可能性も、なくはないだろう。
瀧と三葉の、お互いについての記憶が消えたのち、瀧がテッシーの名前を聞いて一瞬反応したように、奥寺先輩の名を聞いて三葉がなんらかのひらめきを得ることはありえるのかも知れない。
しかし、奥寺先輩が「三葉」の名前を聞いても、何のひらめきも訪れない。なぜなら、彼女にとって「あの頃の瀧くん」も、瀧には違いないからだ。別人と接していたという認識がない。仮に会えたとして、それは恐らく奥寺先輩の望む「あの頃の瀧くん」とは別人だ。
奥寺先輩が三葉の名を問うことは未来永劫、過去永劫においてありえない。出会ったことのない名前だから、何も起きない。その恋心は永遠に閉ざされる。例えば、宇宙と地球に引き裂かれた恋のように。
奥寺先輩と三葉の出会いは「世界の秘密」として閉ざされた。しかし、奥寺先輩は次の恋を見つけ、新たな自分の物語を紡ぐ。永遠と呼べる別れを経てもだ。
その在り方は新海監督がこれまで描き続けてきた主人公たちの姿を彷彿とさせる。


もう二度と、いや一度も君の名を問わず、しかしそれでも自分の物語を紡ぎ続ける。そういう有り様に、新海監督はこだわり続けた。その想いのひとつの結実が「君の名は。」にあるのだろう。

*1:スマホの日記アプリの日付など

マイベストエピソード5選

物理的領域の因果的閉包性のぎけん(@c_x)さんの企画「マイベストエピソード」にふたたび参加します。
ルールはこちら。


・ 劇場版を除くすべてのアニメ作品の中から選出(配信系・OVA・18禁など)
・ 選ぶ話数は5〜10個(最低5個、上限10個)
・ 1作品につき1話だけ
・ 順位はつけない
・ 自身のブログで更新OK(あとでこのブログにコピペさせていただきます)
・ 画像の有無は問わない
・ 締め切りは8月末まで


「何度も繰り返し見ている、自分にとって大切なエピソード」をコンセプトに選んでみました。
学びやひらめきを得、今も勇気をもらい続けている大切なマイベストエピソード達です。



戦姫絶唱シンフォギア EPISODE 12 『シンフォギア』

自分の間抜けなお話をしますと。
僕、当時、シンフォギアは全12話だと勘違いしてて。だから最終回の気分でこのエピソードに臨んだわけです。
満身創痍になりながら自分の役割を果たし倒れていく仲間達。
響はぼろぼろになって立ち上がる。
お前が纏っているものはなんだ。心は確かに折り砕いたはず。
いったい、なんなのだ。
勝っているはずのフィーネが戦慄する。矢継早に、饒舌に疑問が飛ぶ。
それに対する響の応えに、僕は身震いしました。
「シンフォギアアアアアアアアアア!!!」
それはとてもシンプルで、とても腑に落ちる答えでした。
響が傷つき、這いずり回りながら習得したもの。その力、その心。それはシンフォギア。
それ以外の言葉は必要ありません。
そしてエンドロールとともに高らかに鳴り響く「Synchrogazer」。
僕は思いました、これは完璧な最終回だと。
倒すべき相手はまだ健在です。しかし、僕は答えを得たのです。これでいいのだと納得できました。
だから、あと1話あると知ってびっくりしましたし本来の最終回も素晴らしいものでしたが、それでも僕の中でこのエピソードは特別なものとしてずっと胸に残り続けました。
言葉を創造し、力を与えるという行為について、僕はこの作品からひとつ学びました。
で、また改めて今日視聴したのですけど、クリスちゃんと翼さんが散って響が倒れ、場に絶望感が漂う中、足音が響いてくるんですね。
この足音で僕、落涙してしまって。そこで泣いたのは今までなかったことです。その足音の数々は響が戦う理由なんです。そして紡がれるみんなのメロディが、巡り巡って響を後押しする。
何度も視聴したのに、まだまだ作品の魅力を見つけられる、こんなに嬉しいことはないですね。
あのシンフォニーは今も、僕の胸で響き続けています。



君に届け 2ND SEASON episode.0 『片想い』

くるみ視点から描かれる、くるみの恋の一幕。アニメオリジナルエピソードで第二期は幕を開けます。
一期の総集編プラス新作という構成なんですが、主人公・爽子の恋のライバル・くるみが振り返るという変則構成になっていて、くるみから見た爽子・風早が描かれていて新鮮な気持ちで視聴できます。
僕は本当にくるみが好きで。
くるみに名前のコンプレックスがあるからなのはあるけど、はじめから爽子をちゃんと下の名前で「爽子ちゃん」って呼ぶの、彼女だけなんですね。
人から傷つけられた者同士だけど、それによってハリネズミになったくるみにとって、傷つけられても、諦めかけても人と正面から向き合うことをやめなかった爽子がまぶしい。
だからくるみが振り返る思い出もね、風早より爽子との交流の部分が多いんじゃないかというくらい。
くるみは爽子を恋のライバルだから嫌っているけど、爽子との会話やその時のくるみの心境を彼女視点で追って行くと、これはそういう関係じゃなかったら最初から友達になれていたんでは?って思えてくるんですね。
でも、どうかな。もしもはないんですよね。対立したからこそ、今の彼女の心境に至ったのだろうし。
雪振る夜の北海道をひとり彷徨うくるみには妙な落ち着きがあります。
気持ちよく振られて、納得感を得られたからかも知れない。
それでも、想いは消えたわけじゃない。もうすぐバレンタイン。
街の灯りがほのかにくるみの恋心をデコレートします。
街に降る雪がこんなに優しく映って見えるの、不思議ですよね。
光の当て方を返ることで物語がまた別の色付きをし始める。
アニメスタッフの原作へのリスペクトを強く感じるエピソードでした。



◆エクスメイデン 『居酒屋たまき 第一話 〜ほっけの塩焼き〜』

ネット配信アニメが苦手でした。
(期間内なら)いつでも見ていいスタイルが馴染みませんでして。それまで僕はテレビアニメの習慣で曜日とアニメって紐づけられていたんですね。
「週の初めを告げるアニメ」とか「土日らしいアニメ」とか。
そんなある日、エクスメイデンに出会いました。すでに3本ほど公開されておりました。
そのうちのひとつ、「居酒屋たまき ほっけの塩焼き」と名付けられたエピソードは、ネット配信スタイルの豊かさを僕に教えてくれました。
タイトル通り、居酒屋のような緩やかさ。
声優さん達の地が出たような、気の抜けたビールのようなやり取り。
芝居の組み立てがかなり声優さん任せ(のように聞こえる)で自然体に近い。
まさに居酒屋で隣りの客の会話に耳を立てているような感覚に陥ります。
いつでも来ていい。ネットにアクセスすれば、たまきさんと長官に会える。新しいアニメとの出会いのスタイルでした。
配信開始は2014年ですが、今も全話ニコニコ動画にて視聴できます。
僕は今もときおり、居酒屋たまきに立ち寄ります。
あのひとのあのひとことを聞くために。
「ひさしぶり。いつもの席、空いてるよ」



星方武侠アウトロースター #8 『腕ずくの発進』

アウトロースターをひとことで要約すると、「片田舎のチンピラがチャカ手に入れてやんちゃしすぎてホンモノに目を付けられる話」です。
宇宙勢力を揺るがす謎のグラップラーシップを手に入れたジーン一行の前に現れる数々の刺客。
達人VSロボット。管制の協力を得ず、力づくで発進するアウトロースター号。はじめてのグラップラー戦闘に挑む一行。
本郷みつる監督コンテによる、見所山盛りの贅沢仕様。どれかひとつの要素でも1エピソードが成り立つのに、それをぎゅうぎゅうに詰め込んでいます。
俺様なジーンが皆を引っ張り、ジムがサポートし、メルフィナがジーンを支え、鈴鹿は体を張って敵を足止めする。
アウトロースター号の基本戦法がここに確立。打ち合わせなしの突発的な発進に、誰の指示もなくそれぞれが自分の役割をこなす。
寄せ集めが戦いの中で一致団結して行くさまって、やっぱり好きだな。
あと、発進シークエンスっていつも僕をワクワクさせてくれる。「サブイーサドライブ」などのその世界特有の独自用語が混じるとさらに盛り上がる。中華圏の影響が強い世界観なので、モニター表記もかなり独特です。
男心をくすぐるさまざまなギミックが散りばめられ、宇宙船が近接格闘するオリジナリティの強い高速戦闘を彩っています。
気分を盛り上げたい時に、長い間繰り返し見てるエピソードです。「あんたも、魅せてくれよ!」ってジーンに発破をかけてもらうために。



シスター・プリンセス RePure キャラクターズ 12 『咲耶

幼い咲耶の「今日は良く晴れた土曜日」という明るいモノローグとは裏腹に、分厚い雲に覆われる灰色の街。
幼少期の彼女と、現在の彼女が休日の街を一人でさまよう様子が描かれます。
空の高い夏の日をゆくワンピースの少女と、かさついた冬の街を特徴的な赤いマフラーでさまよう咲耶
すべてから祝福されたような幼いあの頃と比べ、うつむく彼女は何かの罪を背負ったかのよう。
シスタープリンセスシリーズの二期にあたる本作は十二人の姉妹達が総登場するストーリーズと姉妹ひとりひとりにスポットをあてたキャラクターズの二部構成になっており、キャラクターズの最終回を飾るのが、姉妹では年長グループの咲耶
キャラクターズは各話それぞれ異なる演出家を招いたオムニバスになっており、ゆえに非常に作家性の強い作品が揃いました。
咲耶回は長濱博史さんが演出・絵コンテ・作画監督を務めています。
基本的に明るい調子で兄への愛情を素直に表現する他の姉妹に対し、咲耶はある「気付き」に達している点が大きく異なります。
それは、「兄を想う事は妹には許されない行為である」ということ。
教会で祝福される新婦に憧れてハンカチのベールを掲げる幼い咲耶。いつか訪れるその日を信じて疑わない。しかし今は何故頬を涙が伝うのか。
アニメシスプリで描かれるラストエピソードが「兄に恋する事の罪」であることに、当時驚きました。
それはひとつの成長でもあり、キャラクターが変質していく事でもある。作品のお約束を超えていく事でもある。
色の沈んだ街にひるがえる赤いマフラーが印象的です。フルカラーの思い出とモノクロの現在を同じモノローグで交互に映す演出も時の残酷さを物語っています。
EDの最後に綴られるメッセージ「Thinking of you in this specialday.」は制作者からの視聴者へのメッセージか、誰に贈られることのない咲耶の独白か。(放送当日はクリスマスなのです)
映像で、シナリオで。最終回で視聴者のやわらかいところに踏み込んできたこのエピソードは今も僕の刺になっています。